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ハーシェルの独り言

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ゆかりさんと学ぶ哲学用語『否定弁証法』あえて考えを統合しないという選択肢【VOICEROID解説/哲学】

 

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否定弁証法

ところで皆さん、今日の夕食は何にしようかなーと考える時、
外食にするか、出かけるのは面倒だし家で食事するかでよく悩むことはありませんか?
私だったらこの場合、意見Aである外食と意見Bである内食を統合をさせる形で
意見Cとしてデリバリーを頼むという選択肢を取りますかね。

このような相反する事象を統合するような思考プロセスのことを、弁証法と言います。
今の場合だったら、意見Aをテーゼ、意見Bをアンチテーゼとし、これを統合した
意見をジンテーゼと呼びます。
しばしばこのような問題点や矛盾を克服する行為をアウフヘーベンするとも言います。

さて、ここまでヘーゲル弁証法に関する簡単なおさらいでした。

一見ここまで聞いた感じ、聞こえの良い完全無欠の問題解決方法のようにも聞こえてきます。
しかし、このヘーゲル弁証法を疑問視し、
これを否定するような考え方をした哲学者がいました。

その哲学者の名は、テオドール・アドルノ
ドイツの哲学者であり、また作曲家でもありました。
哲学者であるホルクハイマー等とフランクフルト学派を形成し、かつてナチスが政権を獲得
した時にはアメリカに亡命を果たしました。
また、ファシズムスケールと呼ばれるファシズム的人格の強さを測定するために
アドルノ等が作成した質問紙尺度(権威主義的パーソナリティ)の開発者でもあります。

具体的には、1930年におけるファシズムの台頭を受け入れた主な支持層というものを分析
し、まぁ趣旨から外れるので簡単にまとめると思考の柔軟性の欠けたバカどもがファシズムを受け入れたと
言っています。

まぁそれはさておいて。

そんなテオドールの著書の一つに、「否定弁証法」というものがありました。
タイトルの通り、ヘーゲル弁証法を否定する内容の概念ですね。

弁証法は矛盾や問題点を乗り越えて一つに統合しようと試みる論理であったわけですが
、否定弁証法はこれを拒もうと言うのです。

一体どういう事なのでしょうか?

否定弁証法において大事な概念なのは、「非同一的」という考え方です。
単純にこれは物事の「差異」のことを指していると考えていいでしょう

アドルノは、物事が統合されて同一的になっていくよりも、実はむしろ
物事は非同一的なことの方がいいのではないか?
とあえて逆の姿勢を取ってみて転換を試みたわけです。

具体的にはどういうことか?

アドルノによれば、弁証法が前提とする認識や思考というものは、目前の対象と
自らの頭に描く概念の同一化を意味すると言います。
すなわち同一化は、本来異異質で多様であるべきものを都合よく変形させてしまい、
それは対象に対しての概念の強制であり、実質的に暴力であると考えました。

しかし同一化は、普段私達が思考する段階で避けては通れない道なのです、目の前の事象と
自らの言葉の概念を一致しない限りにおいては、
そもそも思考そのものが成立しえないからです、

ではどうすればよいのか?

これらを克服するには、概念の強制をしない同一化という方法とるということになります。
つまりは、「意見を統合しない」ということになります。

意見を統合せず、それぞれに選択肢に可能性の余地を残しておくのです。
意見A+意見B=ジンテーゼ意見C。とするのではなく
意見A+意見B=意見Aor意見Bor意見Cにする。ということですね。

この事から、否定弁証法というのは、物事の普遍的な統合的思考を目指すのではなく
個別の差異を延々と求め続ける思考なのだと分かりました。

ということで今回は、『否定弁証法』についてでした。

弁証法、否定弁証法、いずれもどちらが絶対に正しいというものではなく、
選択肢としてこのような考え方があるなという程度で理解していただければいいと
思います。時に弁証法を取り、時に否定弁証法を取る。
それが哲学の正しい利用の仕方なのだと、私は思います。

 

 

主な参考文献
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